葉山・芝崎海岸の水中世界
Underwater World
神奈川県葉山町に位置する芝崎海岸は、県の指定するナチュラリリザーブ(自然保護区)です。ここでは、水深の浅い場所から深い場所まで、多様なサンゴの仲間(ハードコーラル/ソフトコーラル.他)が観察できます。沖縄や海外で見るいわゆる"サンゴ🪸"(ハードコーラル)も観察が可能です。
2023年くらい〜でしょうか、近年、地球温暖化に起因すると考えられる水温上昇の影響で、浅瀬や潮溜まりにおけるサンゴの成長が顕著になっています。「こんなところに珊瑚があったかな?こんなにあったかな珊瑚、、、」と思うような小さな個体も生まれて観察ができるようになっています。
このページは、葉山におけるサンゴの現状を報告するとともに、より多くの方々にその実情を知っていただくことを目的としています。






近年の環境変化とサンゴの成長
Environmental Change
近年、地球温暖化の影響による海水温の上昇が、葉山の海にも確実に変化をもたらしています。四季の変化がはっきりと感じられるこの地域でも、夏から秋にかけての水温が以前よりも高い状態で安定するようになり、これまで限られた環境でしか見られなかったサンゴが、浅瀬や潮溜まりといった場所でも観察できるようになってきました。
葉山の沿岸は、黒潮と相模湾の冷水が交わる場所に位置しており、海の環境変化を敏感に反映するエリアです。芝崎海岸をはじめとするこの周辺の海は、潮通しが良く透明度が高い一方で、季節ごとの水温変化が大きいという特徴があります。こうした環境の中で、サンゴたちは高温や波の影響、潮の干満などの自然条件に適応しながら、少しずつその生息域を広げているのです。



特に最近(2023年ごろから)は、ミドリイシやキクメイシといった種類のサンゴが、浅瀬で元気に成長している様子が確認されています。これらの個体は、かつては南の海の象徴とされていたものであり、葉山で見られること自体が地球規模の環境変化を示す一つの証拠でもあります。我々も日々の観察によって、浅場での被度(覆われる面積)が年々広がり、サンゴの群落としての存在感が増している場所もあると実感しています。



一方で、水温上昇にはリスクも存在します。過度な高水温や急激な温度変化はサンゴの白化を引き起こす原因となり、せっかく成長した群体が一時的に衰退することもあります。葉山のように、日射が強い浅瀬や潮溜まりでは、その影響を受けやすい環境も多く、成長と危機が隣り合わせにあるのが現状です。
それでも、こうした環境の中で力強く成長を続けるサンゴの姿は、葉山の自然のたくましさと回復力を象徴しています。季節ごとに変化する光の色、水の透明度、そして多様な生物との共生関係。サンゴはそのすべてを受け入れながら、今まさにこの地域ならではの海中景観を形づくりつつあります。
葉山で見られる主なサンゴ
Main Corals in Hayama

ミドリイシサンゴ属
色彩
鮮やかな緑色、淡緑色、褐色
形態
変化に富む
生息域
20 m以浅、10 mより浅い場所では高被度の群集を形成
特徴
雌雄同体の放卵放精型、夜間に産
備考
近年は沿岸域の分布拡大が報告され、北上を示す注目のサンゴ

キクメイシ属
形態
準塊状~塊状群体、褐色~緑色
生息域
礁斜面の深場から浅礁湖、
内湾まで広く分布
特徴
口盤の色が他と異なることが多い、莢は広く深い
個体サイズ
長径5 mm~1.5 cmが多い

オノミチキサンゴ
形態
樹枝状の群体、時に50 cmを超える大き
分類
刺胞動物門花虫綱
イシサンゴ目キサンゴ科
特徴
「非造礁性」のサンゴ
名前の由来
広島県尾道周辺で発見

ソフトコーラル類
色彩
鮮やかなピンク色ほか
形態
多様
生息域
深場/浅場
特徴
硬い石灰質の骨格をもつハードコーラルとは異なり、体内に微細な骨片(骨格要素)をもつことで、柔軟な構造を保っている
備考

イソギンチャク類
形態
多様
生息域
深場から浅場の砂地など
特徴
イソギンチャクの色彩と形体は、多様な種類と生息環境に応じてさまざまです
。一見すると植物のように見えますが、サンゴやクラゲと同じ刺胞動物の仲間で、捕食や防御のために毒のある触手をもつ動物で

イソバナ類
形態
樹枝状の群体
分類
イソバナ科
特徴
イソバナは、花虫綱イソバナ科に属する刺胞動物の一種で、海中に扇状に広がる美しい群体を形成する
名前の由来
広島県尾道周辺で発見
幻想的なフローダイビング
Experience Flow Diving
暗闇の海中でブルーライトやUVライトを使い、サンゴや生物の蛍光タンパク質を観察する特別なダイビング
通常では見られない幻想的な発光を観察し夜間の海中世界の神秘を体感






Coral Conservation Diving Plan
サンゴ保護のダイビングプラン

PADI AWARE 葉山サンゴ保護コース
葉山の珊瑚を実際に観察し
その保全について学ぶプログラム
(講習/タンク/申請料/PADI AWARE環境寄付550円/葉山サンゴ保全協力金550円)
未来へつなぐ葉山の海
Hayama's Sea for the Future
海の変化は、単なる「温暖化の影響」という枠を超え、葉山の海が未来に向けてどのように変わり続けていくのかを示す大切なサインでもあります。私たちがこの海を見つめ続けることで、環境の変化を「危機」としてだけでなく、「適応と共生の物語」として受け止められるかもしれません。
葉山の海は、豊かな生態系と人々の暮らしが寄り添う、かけがえのない場所です。サンゴの保護・観察は、単に自然を楽しむ行為にとどまらず、この海を未来へつなぐための大切な取り組みでもあります。私たち一人ひとりの小さな行動が、次の世代に美しい海を残す力になります。ぜひ、この海を「今」だけでなく「未来」にも残す仲間の一人として、ともに見守っていきましょう。
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葉山のサンゴ
写真
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お待ちしております。